デザインという思想があったら、表現方法が違うだけですね。 自分の心の中にあるものがデザイン。 そこには、訓練、才能、勉強もあるけれどもね。
アートディレクター
50年生 / 吉本研作
2017年05月31日 取材
今回は、アートディレクター歴50年生の、吉本研作さんにお話を伺いました。
リード・マイルスっていうブルーノートのジャケットデザインを手がけたデザイナーが、素晴らしいデザインをしているんですよ。今みたいに、ネットがあるわけじゃないから、 そのたびにLPが欲しくって欲しくって・・・
そんなんが、デザインの原点です。

1962年、僕が高校生の時に学校の課題でLPジャケットのデザイン制作があったんですね。

その時、モダンジャズにはまっていたんだけれどもLPを買うお金がないので、学校が終わってから

大阪難波の喫茶『バンビー』に聞きに行ってね。22時ぐらいまで・・・。

当時のお給料が1万8千円/月、の時代にレコードが1枚2000円ぐらいした。

今だったら2万円するってことですよ。買えるわけないですよ~。

コーヒーは40円くらいでしたかね~。

 

その時につくったLPジャケットのデザインがコレ・・・(下記写真)

モダンジャズ・・・

高校2年生16歳の時・・・

 

リード・マイルスっていうブルーノートのジャケットデザインを手がけたデザイナーが素晴らしいデザインをしているんですよ。

今みたいに、ネットがあるわけじゃないから、そのたびにLPが欲しくって欲しくって・・・

そんなんが、デザインの原点です。

 

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※吉本さんが16歳の時にデザインしたLPジャケット

 

デザインはひとつの思想である。
それが表現されているのが、雑誌esquireの表紙、 現代ではそれがかすかにTIME誌に残っていますね。

一番影響を受けたアーティストはジョージロイス。

1934年の12月にはじまった、アメリカの雑誌esquire(エスクァイア)の

1960年代の表紙デザインを担当した人ね。

 

60年代はまだわたしも少年でしたね。

古本屋さんで、アメリカの雑誌がいっぱい売っていた。esquireが10円くらい。

そこでジョージロイスの作品と出逢い、衝撃を受けて、デザインはこういう世界でいこうと・・・

僕はそんなふうに思ったんです。

日本でこんな形のデザインをする人がまだ、だ~れもいなかったから・・・。

 

社会人になってから、アメリカで400冊ほどesquireを買ったんですよ。結構高かった。

見せてあげたいけど、残念ながら震災でなくなりました。神戸の震災でね・・・。

もう倉庫がぶっ壊れたりして・・・お気に入りはフィルムに撮ってありますけどね。

 

デザインはひとつの思想である。

それが表現されているのが、雑誌esquireの表紙、現代ではそれがかすかにTIME誌に残っていますね。

 

私達は他人や過去の人々が作ったものを利用させてもらっているだけです。
いま喋っている日本語だって・・・。だからデータ集めが基本じゃないでしょうか。

僕、二十歳くらいの時に身体を悪くして1年間入院していて行くところがなく、

親戚が経営している『VANジャケット』 のお店をつくらせてもらっていました。

VANというアメリカのトラッドジャケットを基軸にしているのですが、アメリカの真似をしているだけでは、なんか商品があきたらない、

だったら俺たちで創ろうやぁ~って!創りはじめたわけです。

 

洋服の源流を求めて世界中を旅しました。

海外のカタログを現地で見て、かっこいいじゃな~い。こういうの作ろうって!

まだ日本にカタログがない時代に・・・そこで得たネタを参考に創りあげて、ダンロップと組んで、ダン・マスターズとういう会社で販売を開始しました。

おそらく日本で一番早かったと思います。

 

もともとグラフィックデザインでしたが、商品企画、デザイン、カタログ制作、写真撮影、コピーライティング、店舗、什器設計、ディスプレイ・・・

デザインと名がつくものを何でもしていました。

ただ、表現形態が違うだけで考えやコンセプトは同じです。

私達は他人や過去の人々が作ったものを利用させてもらっているだけです。いま喋っている日本語だって・・・。

だからデータ集めが基本じゃないでしょうか。

 

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そこでカタログつくって、商品企画をやっていたら、店舗を出したい!って取引先がありますよね。

当時、店舗屋さんは海外の店のあり方をあまり知らないので、僕が全部図面描いていた。

ディスプレイがいる、ポップがいる、あれがいるこれがいる・・・と全てを任されて、

カタログを作る時には、プロカメラマンが必要でしょ、そしたら、写真だってわからないといけない、

今みたいにデジカメチョン!じゃないですよね。

当時フィルムでポジですから、今では想像できないですけれど、写真の色を決めるのに、全部ポラロイドきっていくんですよ。

ポラロイドフィルム1枚が10万円くらいするわけですよ。

今は、デジカメでチョンでしょ。そういう意味では1枚1枚を大胆に、真剣に色と向きあったよね。

 

そして、アートディレクターがいるでしょ、サブがいるやね。

デザイナーがいるやね、グラフィック系で3人でしょ、

カメラマンとアシスタント、コピーライター、メイク、ヘアー、スタイリスト、大道具、小道具…

そこにプロモデル、エージェントがあって、全部で10人以上のスタッフが1枚の写真に全エネルギーをかけてを撮るわけですよね。

 

1日にどのくらいのお金がかかりますかね~。すごいでしょ!

 

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デザインという思想があったら、表現方法が違うだけですね 自分の心の中にあるものがデザイン。
分類はしない、全部一緒ですよ。

僕がパソコンやりはじめたのは1992~3年ですから、アメリカの面白いサイトをみてダウンロードしようとしたら、当時は20分~30分かかりましたよね。

 

Windows95の時はまだ、みんな持っていませんでした。Windows98でやっとワイワイしだして・・・

オフィス2000になって、ネットとかパソコンということにみんなが興味をもって、家庭の主婦までがやりはじめたわけですよね。

その歴史はわたしにとって一瞬で、すーっと通りすぎてきたわけです。

 

それまで図面を描く時、僕は烏口(からすぐち)とかコンパスを使っていました。

PCと言ったって、紙と鉛筆がキーボードとディスプレイに変わったに過ぎません。

考えるのは人間、想像力です。

ですからネット機器やそれに使われるのではなく「自らの視点で見る」つまりクールに使いこなす側に立たなければなりません。

PCやネットは、たかが人間が作った道具です。この現代の利器を利用しない手はありません。

 

デッサンを繰り返し繰り返しやること。デザインをジャンルに分けない!

考えること・・・デザインでも何でも、頭の中にページでも、形でも、コピーでも映像が浮かんだら出来たも同じ。

後は作業です。この閃きまでに到達するのが七転八倒。

苦しいんだけれど、一番楽しい時なのです。そこには訓練、才能、勉強もあるけれどもね・・・。

 

服であれなんであれ、全てグラフィック。

デザインという思想があったら、表現方法が違うだけですね。

自分の心の中にあるものがデザイン。分類はしない、全部一緒ですよ。

 

デザイン⇒デ・サイン⇒【サイン】とは見えるということですね、ギリシャ語からきてる。

見えるものをどうするか!だから、まったくもってそういうものなんですよ、【デザイン】は。

一つの眼、一つの意思がデザインです。

一つの眼で見なければならない。それがアートディレクターの仕事です。

みんなの意見を入れるほど平均化であり意図は薄まります。

一つの眼、一つの意思がデザインです。多くの意見を入れた者は「妥協の産物」であり、人を動かす力にはなり得ない。

本質を見抜く。何を言えばいいのか?見た瞬間に何を感じるか。

ヴィジュアルこそ命である。

コピー(言葉・文章)は力である。

媚びてはいけない。効果を期待するあまり相手におべんちゃらを使う。

世間はこんな広告に満ちています。

映像もコピーもユーモアとメタファーとアナロジーを持って語るべきでしょう。

 

僕らの世代は教養主義で・・・

世界文学全集を暗黙の了解で読んどきゃなきゃいけないってことになってたんですよ。

『カラマーゾフの兄弟』(フョードル・ドストエフスキーの長編小説)

うん、読んだだけだけど、「あれはねっ」とか・・・。

 

家には、百科事典が必ずあって・・・。今はウィキペディアだけで十分だけど・・・。

日本人はそうやって、貧しいけれどもそういうものを積み上げてきたから世界文学の平均値レベルは高いと思うよ。

音楽も絵画もわからなきゃ。ピアノぐらい弾けなきゃ、クラシックくらいわからなきゃね。

 

ピアノってぬいぐるみ置きになっていませんか?ぬいぐるみ置くために何十万もするのに・・・

わたしの家では猫が座っています。(笑)

日本も負けてないよ、日本の家紋は花鳥風月全部入れて1800~2000ある。
世界に冠たるデザインですね。

「アイコン」っていうでしょ、アイコンの語源は「イコン」だよね。

イコンとは「ホンモノの」っていう意味なんですね。

それはキリストの顔をホンモノの様にずーっとテンペラで描いていく、それが今でもロシア聖教で続いています。それを「イコン」と言います。

それをシンボルという意味で英語読みして「アイコン」って言葉になった。

日本も負けてないよ、日本の家紋は花鳥風月全部入れて1800~2000ある。

世界に冠たるデザインですね。

 

そういうことを教えていく・・・

戦争中にはプロパガンダで色んなものをつくって、やってみた時代、デザインとはどういうものだろう?って・・・。

 

見る人の想像力を刺激するのがデザインじゃないかな?

ストーリーを彷彿させて、「見る人の心に対してデザイン」をするんです。だって人間が相手なんだから。

受けての「心」(感情と理性)に対して行うメッセージです。創造性(クリエイティブ)。

軽く言えば、思いつき。新奇な工夫。着想。

そして、イデア、観念、理念、美意識なんかが作るんでしょう。

そう、アイデアとはいままでに記憶した沢山の要素の新しい組み合わせです。

 

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何が残ってるかと思ったら、デザインしかない!!
50歳の時にまた『0』からはじめました。

僕も調子のよい時代がありました。

でも、バブルがはじけて、さらに震災で親会社がなくなって、明日から一切の信用もありませんよね。

子供はまだ、小学校、中学校だし・・・二進も三進もいきませんやん。

僕は、その時に思い切ってお金を借りて、で、何が残ってるかと思ったら、デザインしかない!!

50歳の時にまた『0』からはじめました。

 

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いつも好奇心持って面白いことを考えていたら、 なんかおもしろいもん現れるんじゃない?

あれもこれも好奇心を持つこと。人間の行動原理は好奇心。

地球の歩き方というカタログに載った言葉です。

‟Stay hungry,stay foolish“

「知的好奇心にハングリーであれ、謙虚に受け止めよ。」

と勝手に解釈しています。

 

パターンが決まっていても、こういうことをしてみたらどうだろうと疑問を持って、1つのものを多角度から見てみて、カタチにしてみる。

 

大人は子供たちに本物を見せること。

例えば、オシャレが好きだったら、VOGUE等のデザイン雑誌を見せて世界のデザイナーの作品を見せる。

教えるものではないです。勝手に身につくもの。と私は思います。

 

いつも好奇心持って面白いことを考えていたら、なんかおもしろいもん現れるんじゃない?

お金はあとでついてくるって!(笑)

 

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